JAPAN SYSTEMS Driving for NEXT NEW with Comfort and Convenience

オープンデータからの知見(19)市町村目的別歳出編

データを活用するためのソフトウェアの発展と、データを処理するハードウェアの低価格化が、より大量のデータ分析やより高度な可視化を可能にしています。組織においてはデータからいかに知見を得て活用するかということが課題になっているのではないでしょうか。

当社でもいかにしてお客様が持つデータを有用な知見に変えるかということに日々取り組んでおります。本コラムでは誰もが利用できるオープンデータの可視化から、どのような知見が得られるかを試していきたいと思います。

さて、国の政策のことはテレビニュースなどで報道されるので何となく知ってたりしますが、私たちの日々の生活に欠かせない水道やゴミ処理、義務教育、公共交通、自然災害対応などの公共サービスを提供している自治体のことはなかなか知る機会がないと感じているのは私だけでしょうか

自治体の公共サービスは私たちの税金が市町村の議会で可決され自治体により執行されています。当社が提供する「行政経営支援サービスFAST」は自治体の予算編成や執行、資産の管理など色々な業務をサポートしているんですよ。 今回は公共サービスを提供するための支出、自治体歳出データの可視化から新たな発見や知見が得られるかにチャレンジしたいと思います。

総務省が公開している平成28年度 市町村別決算状況調査を利用します。http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/h28_shichouson.html
まずは全自治体の目的別歳出の合計を把握しましょう。

lgExpenceSummary.pngグラフに表記された目的別歳出項目の概略です。

民生費

児童、高齢者、障害者等のための福祉施設の整備及び運営、生活保護の費用

土木費

道路、河川、住宅、公園等の公共施設の建設、整備等とこれらの施設の維持管理する費用

総務費

地方議員の選挙費用や職員給与などの自治体を運営するための費用

教育費

学校教育、社会教育などの費用

衛生費

医療、公衆衛生、精神衛生等に係る対策と推進、ごみなど一般廃棄物の収集・処理などに使われる費用

消防費

火災、風水害、地震等の災害を防除し、被害軽減するための費用

商工費

地域における商工業の振興、中小企業の経営力・技術力の向上、地域エネルギー事業の推進、企業誘致、消費流通対策に使われる費用

農林水産費

食料生産基盤の整備、構造改善、消費流通対策。農林水産業に係る技術の開発・普及等の従来の施策。6次産業化の推進、人口減少社会における農村漁村の活性化に使われる費用

全自治体の目的別歳出項目別の合計額の時系列変化をみてみましょう
expenseTrend.gif

あまり変化がないように見えますが、よくみてみると福祉関係の費用が徐々に増えてきているのがわかるのではないでしょうか。全体像が把握できたところで自治体ごとの歳出割合のパターンを平成28年度のデータを使って調べてみることにしましょう。

注)生活保護は国家責任で生存権を保障する制度で自治体によって生活保護費の歳出の計上方法に差異がありました。以降の分析は歳出項目の生活保護費を除いて行います。

expenseDendro10.png

上のグラフは教師なし機械学習の階層クラスタリングを使って「目的別歳出項目割合」をパターン分けしたものです。上からみていくとまず大きく2つに分岐します、大きな分岐の左側がクラスター1から5まで。右側がクラスター6から10までです。グラフの横幅が団体数に比例します。左側から3番目の「クラスター3(うぐいす色の部分)」がもっとも多数派のクラスターとなります。一方、横幅がとても狭い「クラスター6、7(薄い青)」が少数派のクラスターとなります。それぞれのパターンを見てみましょう。

:一口メモ:
階層クラスタリング
最も似ている組み合わせから順番にまとまり(クラスター)にしていく手法です。樹形図(デンドログラム)という階層型のグラフで表すことができます。
expenseDendro10.gif

細かく見ていくといろいろな違いがあるのですが、大きな2つの分岐の左側「クラスター1〜5」は「クラスター6〜10」に比べて「児童福祉費」の割合が少ないというのが分かりやすいところなのではないでしょうか。またクラスター6と7は他のパターンとは全く違う少数派で「クラスター6」は「土木費」、「クラスター7」は「その他」が突出して多いパターンでした。「クラスター6」は三陸海岸沿いの地域、「クラスター7」は福島県にのみ分布していました。

まずは大きな分岐の左側のグループ「クラスター1〜5」の歳出項目ごとの中央値を一つのグラフに重ねてみましょう。
expenseCluster1_5.png

児童福祉費と教育費の割合が多くパーセンテージの分布が大きいのが分かりやすいところではないでしょうか。その他の分かりやすい特徴として総務費と消防費はクラスターによらずあるパーセンテージに収束しているようです。また、衛生費と商工費に他とは大きな違いのあるクラスターがあるのがわかるのではないでしょうか

右側のグループから少数派の「クラスター6、7」を抜いた「クラスター8〜10」の歳出項目ごとの中央値も一つのグラフに重ねてみましょう
expenseCluster8_10.png

こちらのグループは総務費の割合が多いのが分かりやすいところではないでしょうか。「クラスター1〜5」では農林水産費が5%を超えることはなかったのですが、「クラスター8〜10」は5%を超えていますね。また「クラスター9」は他と比べて消防費がとても大きいというのがわかります。

自治体ごとで違う目的別歳出割合のいろんなパターンが見えてきたのではないでしょうか 市町村の議会ではそれぞれの地域のニーズに合わせた公共サービスのあり方が議論され、地域にあった使い道が決められていきます。その結果が目的別歳出割合のいろんなパターンに現れるのではないでしょうか

今回は自治体の目的別歳出データの可視化を行ってみました、皆さんは何か新しい発見がありましたでしょうか。

本文書記載の図は出典元WEBサイトで公開されているデータを使用して作図したものです。

筆者プロフィール
嫁兼恭輔
キャリアを通してサービスビジネスの企画および立ち上げのプロジェクトに携わる
現在当社にて新しい技術を活用したサービスのプロジェクトに従事

Adobe® Reader®

PDFファイルの閲覧には、Adobe® Reader®が必要です。

Adobe® Reader®のダウンロード

お問い合わせ