コラム

デジタル社会形成に向けて 第2章(10)~自治体DXの先に~

2022.11.07

訪問型行政サービス(A公園の訪問価値)の効果測定を下記フローに沿って説明してきております。(下図記載)

訪問型行政サービスにおける効果測定フロー図1:訪問型行政サービスにおける効果測定フロー

前回からの続き~施設の選択

前回のコラムにおいて、ある母集団についてBIC値を計算した結果、3つのクラス分けを行うところまで進みました。クラス分けした結果についての説明に入る前に、今回アンケートの対象となった市民が、実際にどのような施設を利用(選択)しているか?という点について、選択肢を下記表1に整理しました。

施設の用途分類

選択肢 1 2 3 4 5 6
  体育館
7
小中学校
保険・診療所
8
文教施設
児童館
9
福祉施設
公園
10
観光施設
公民館
11
運動施設
図書館
12
集会場

表1:施設利用アンケート結果

実際のアンケートでは、具体的な施設名称で利用状況を聞いています。ただ、利用される施設は多岐にわたり、一つ一つの施設で見ると、全体としては利用回数が少なかったりして、そのままでは分析に使いにくいため、具体的な施設をいくつかの用途ごとに整理することになります。

各クラスの特徴

さていよいよ各クラスの特徴ですが、元々は、下記表2の属性を持ったサンプルだったのです。

施設利用者属性別人数表2:施設利用者属性別人数

ちなみに、サンプルデータの対象となった自治体(複数団体の合計)の年齢階層分布が下記表3です。比較的偏りなくサンプルが採れているように見えますが、この類のWebアンケートでは若年層と高齢層のサンプルが取りにくいのが悩みです。

年齢階層 人口 サンプルサイズ
15~19歳 18,112 10
20~24歳 17,900 20
25~29歳 16,895 30
30~34歳 18,381 65
35~39歳 20,922 61
40~44歳 24,945 82
45~49歳 29,164 97
50~54歳 26,571 94
55~59歳 24,472 60
60~64歳 23,656 45
65~69歳 27,047 24
70~74歳 27,966 25
75~79歳 23,335 3

表3:年齢階層分布

これを3つのクラスに整理し直すと、下記表4の通り、3つになりました。

クラスの特徴及び施設の選択割合表4:クラスの特徴及び施設の選択割合

各クラスの特徴について、3つのクラスごとに、上段に性別・年齢階層、中段に子供の有無・収入階層・職業、下段に選択された施設の種類を、それぞれ示してあります。1~3 の数値はクラスを表しています。また、表中に示されている小数点2位までの数値は1・2・3の各クラスにおいて、それぞれの特性が占める割合を示しています。

これらの表を見ますと、クラス1 は、男性の割合が大きく、約6 割を男性が占めていることが分かります。年齢階層は、24歳まで・39歳まで・54歳まで・55歳以上に分類してありますが、クラス1では、ほぼ全員が55 歳以上ということになっております。この傾向からは、男女問わず高年齢層を特徴とするクラスであると考えられそうです。更に、中段の表でクラス1の特徴を見ると、子供の居ない個人が6 割を占めており、低所得・中所得がほとんどであり、高所得者はほぼ居ない、となります。また、職業は、その他・無職が大部分を占めています。リタイアされた比較的高齢の方々が分類されたクラス、ということになるでしょうか。なお、後ほど整理しますが、施設選択においては、4: 公園・12: 集会場を多く利用していることが分かりました。

次はクラス2です。このクラスは、ほぼ9割を男性が占めておりまして、40歳~54歳の世代で全体の85%を占めています。また、7割が子供なしと答えており、中所得層が65%を占めている状況です。職業は、ほぼ9割が会社員となっています。現役世代で、男性の勤め人が集まったクラス、とい言えるでしょうか。施設選択においては、4:公園の利用が最も多く、その次には11: 運動施設を利用していることが分かりました。

最後にクラス3ですが、ほぼ9割が女性となっております。世代は25歳~54歳でほぼ9割を占めています。約3割の方が子供ありと回答しており、低所得層が約6割、中所得層が約4割で、高所得層はいらっしゃいません。職業は、その他・無職が7割となっています。このクラスは、女性の子育て世代と言って良いでしょうか。施設選択においては、4:公園を最も多く利用していますが、その次には7:学校施設を多く利用しているクラスになっております。

施設属性について

クラス分けと各クラスの特徴が分かりましたので、次は施設属性の話になります。施設というのは本来一つとして同じものは無く(人間もそうですが)、大雑把に纏めてしまうのは心苦しいところです。傾向を分析する以上、やむを得ませんが、大胆に属性を括ってしまいます。下記の表5をご覧下さい。

相関係数表5:相関係数

妙な三角形ですが、この表はいわゆる「相関係数」を示しております。何故相関係数が登場するのかについては、後ほど説明いたしますが、初めに、変数の意味をご説明しておきます。「施設属性」に、個人属性もセットになっていますが、ご容赦下さい。

“age4”というのは、以前も出ましたが、4段階に分けた年齢階層です。“imcome4”というのは、同様に4段階に分けた収入の階層です。“job3”というのは、3分類した仕事の種類、“city3”というは、元々のサンプルが3つの団体から取得したものだったので、その分類です。

“距離の2 乗”(dis2_scld)は、個人の自宅から自分が選択した施設までの地表距離を2 乗したものです。実際の道路距離に近づけるため4/? を乗じてあります。最近では、Google社のサービスを使って、簡単に実際の道路距離を得られますが。

“面積”(size_scld)は、選択された施設の延床面積であり建物の規模を示す意味合いがあります。
“簿価”(book_scld)は、固定資産台帳上に記載されている建物の評価額です。簿価が大きいほど施設が大規模であり、多くの設備が装備されている傾向があると考えました。実際の施設は複数の建物から構成されるケースが多いので、ここでは建物の延床面積によって加重平均を取ってあります。
更に加えて、単位面積あたりの簿価を見るために、簿価を面積で除した“単面積あたりの簿価”(book_size)も、登場させています。

“経年”(aging_scld)は、施設を構成する主要な建物が供用開始されてから何年経過しているか表す数値です。これも、施設を構成する建物の延床面積によって加重平均を取ってあります。
なお、変数の後ろに“_scld”という文字が付いているのが有りますが、これは「基準化」を行いました、という意味です。一気に「相関」、「基準化」といっただの意味不明な用語が出てきましたが、この辺は次回ご説明します。

(以上)

コラムニスト
公共事業本部 ソリューションストラテジスト 松村 俊英

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