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2020(令和2)年度予算を探る(5)2020年度政府予算案の解説とポイント(前編)

ジャパンシステム株式会社 コンサルティングアドバイザー
明治大学公共政策大学院教授 兼村高文

2020年度政府予算案が20日に発表されました。「2020(令和2)年度予算を探る」と題したコラムを10月から始めて予算案を探ってきました。最近は派手な大臣折衝も見られなくなり「基本方針」に概ね沿った官邸主導の内容ですが、発表された予算案を解説しいくつかのポイントを紹介してまとめます。

経済成長見通しと民間の予測

はじめに予算の前提となる政府の経済見通しを見ておきましょう。財務省が発表した「令和2年度予算のポイント」に予算の概要とともに経済成長率などの見通しが示されています。政府の経済成長率は直近(12月18日閣議了解)の見通しは当初の名目2.1%から1.7%に引き下げています。実質は1.4%で変わりませんが最近の実態経済が米中貿易摩擦の影響等を受けて弱含んできたことで名目成長率を引き下げています。2019年度の実績見込みの成長率と比べると名目・実質ともに高い予測です。一方、民間予測をまとめてみましたが名目・実質成長率ともに最も高い予測でも政府より低く、2019年度を下回ると予測しています。消費増税による消費の落ち込みが予想より大きいことや世界経済の停滞などを要因としてあげています。消費者物価上昇率は引き続き消費者のマインドが改善せず1%以下に止まっています。失業率は低い状況が続きますが非正規雇用が2千万を超える状況が心配です。予算には就職氷河期対策も盛り込まれていますが正規雇用が増えてくれないと消費も低迷したままで社会保障費にも影響します。

経済指標の見通し

*政府予測は2019年12月18日閣議了解の数値
**民間予測は主要なシンクタンクの予測

政府の経済見通しは例年と同様に民間予測を上回って強気です。これまでアベノミクスの成果として低成長ながら税収は伸び続け、2018年度にはバブル超えで過去最高を記録しました。しかし2019年度当初予算で見込んだ税収62.5兆円は減収が確実となり、補正予算で減収分を特例公債2.2兆円追加発行することを閣議決定しています。12月5日に発表した東京五輪後の景気対策も盛り込んだ事業規模26兆円の経済対策は、実質経済成長率を1.4%程度押し上げると政府は予測していますが民間の予測は世界経済の減速と内需の弱さを懸念しています。

2020年度一般会計政府予算案の解説

一般会計予算は2年続けて100兆円を超え8年連続で過去最高を記録します。総額は102.7兆円です(うち「臨時・特別の措置」が1.8兆円)。2019年度当初予算より1.2兆円(+1.2%)増です(なお2019年度の「臨時・特別の措置」は2.0兆円ですので通常分は99.4兆円です)。第2次安倍内閣発足時から約10兆円増えています。アベノミクスの機動的な財政政策の予算の姿といえそうです。

歳入からみますと、税収入は63.5兆円(2019年度当初予算比1.0兆円増、+1.6%)で過去最高です。消費税が所得税を上回って税収トップになります。消費税は+2.3兆円で税収は21.7兆円に対し所得税は▲0.4兆円で19.5兆円、法人税も▲0.8兆円で12.0兆円となり消費課税が最大となり主役が交代します。消費課税の公平性が増税に際して問われることになりそうです。税外収入は6.5兆円(同+6.4%)ですがこのうち外国為替特別会計(外為特会)の剰余金からの繰入金2.6兆円(同+0.8兆円)、日銀納付金0.6兆円が大きく寄与しています。外為特会からの繰入は円安阻止で得たドルで購入した米国債の運用益です。国債発行は税収増を見込んでいますので32.5兆円(同▲0.3%)で国債依存度は31.7%(同▲0.5%)と若干低下しますので財政健全化としています。国債発行のうち建設国債は7.1兆円(同1,580億円増)、赤字国債は25.4兆円(同2,623億円減)で赤字分が抑えられています。しかし歳入の3分の1近くが依然として借金によって賄われる状況は変わりません。

歳出については、社会保障費や防衛費、公共事業費など一般歳出は61.7兆円で2019年度当初予算より1.7兆円増えますが、このほとんどは社会保障費です。社会保障費は本コラムの③でも解説しましたが、自然増5,300億円を4,100億円に抑えて35.8兆円(同+5.1%)で大きな伸びは少子化対策です。社会保障費は全世代型を掲げ世代間負担の公平を目指して改革を進めていますが歳出の34.9%を占め過去最高を更新します。また防衛費も5.3兆円(同+1.1%)でこれも6年連続で過去最高です。半面、公共事業費は6.8兆円(同▲0.8%)で減ですが、国土強靭化計画とともに災害復旧復興のインフラ整備を12月の経済対策として2019年度の補正予算とともに15か月予算として盛り込んでいますので実質的には増えています。また2020年度の財政投融資計画は13.2兆円で3年ぶりに当初計画で若干ですが増額されています。文教科学費は5.5兆円(同▲1.5%)、農林水産は2.3兆円(同横ばい)などです。また地方交付税交付金等は地方税収が増えるため15.8兆円(同▲1.1%)で若干の減となっています。国債費は23.3兆円(同▲0.9%)で国債利率の低下で若干の減です。歳出の通常分は100.9兆円(同1.5兆円増)でこれに臨時・特別の措置が加わって102.7兆円となります。

2020年度一般会計予算の姿

(後編に続きます)

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