ジャパンシステム株式会社(自社事例)

働き方改革・オフィス改革の一環で、社員同士が顔を合わせてコミュニケーションできる場所、社外の新しい発想を取り組む空間が新たに誕生した。 ジャパンシステムでは、この新オフィスを十分に生かすため証明書認証方式の無線LAN環境を導入した。

“ここは、言わば規制特区を意味する「SandBox(砂場)」です。組織や所属を超えて自由にアイデアをぶつけ合い発想を形にする、という狙いがあります。このようなオープンでフリーな空間ですから、無線LAN以外の選択肢はありませんでしたね”

導入ソリューション

課題

東京オフィスが抱える多くの課題

曲線の大きなガラスが真っ先に目に入るビルの1階。ブラインド越しにも白を基調とした明るく広々とした開放的な空間が感じられる。ゆったりとしたボックス席やテーブル席、鮮やかなグリーンやモノトーンの椅子など、まるでカフェのようなこの空間は、間もなく設立50周年を迎えようとしているジャパンシステムの新オフィスだ。

ジャパンシステムは現在、事業改革と共に「働き方改革」に取り組んでいる。ITを取り入れ、フレックスタイムやテレワークなど時間や場所にとらわれることなくフレキシブルに働ける制度を導入する一方、制度を十分に生かすための環境やツールなどオフィスファシリティの見直しも並行して行ってきた。

ジャパンシステムの事業所は東京のほか、名古屋、大阪、札幌、福岡と全国5拠点にあるが、とりわけ多くの課題を抱えていたのが東京の事業所だった。

東京には、代々木本社のほか、お客様先への利便性を考慮し2002年に開設した門前仲町の東京イーストサイドオフィスがあったが、「二つに分かれた事業所」は現在のジャパンシステムの目指す働き方を実現する弊害となっていた。

現在のジャパンシステムに必要なオフィスは『デスクワークをする場所』ではなく『コミュニケーションをする場所』。ITを活用することでデスクワークは社内外問わず可能にし、物理的なオフィスは発想力や提案力、競争力を育み、技術革新を起こす場所、コミュニケーションのバックグラウンドとなる場所にしたいと考えていました。」(総務部 前島さん)

また、代々木本社ではフリーアドレスを採用していたが社員数の増加に伴い座席が不足する、役員用の部屋が空き部屋となり使われていない、会議室が足りないなど、課題は山積みだった。

そこで、2017年春、東京二か所の事業所を統合することを前提にオフィス全体の見直しを行う「オフィス改革プロジェクト(以下、プロジェクト)」が立ち上がった。2018年の移転を視野にプロジェクトチームがオフィスの調査を進める中、代々木本社が入るビルの1階フロアが空くという情報が入った。

「より良いオフィスを探している中、代々木本社の入るビルの1階フロアが空くという情報が入りました。これは私たちにとって朗報でした。なぜなら、ガラス張りの1階というオープンなスペースを確保できることで、多くの人達に開かれた「コミュニケーションをする場所」を作ることが出来ると考えたからです。」(総務部 前島さん)

弊社が選ばれた理由

ジャパンシステムの目指すオフィス~SandBox(砂場)とセキュアな証明書認証方式無線LAN~

オフィスプランは、従来から事業所が入っていた2階・3階フロアとオープンな1階を十分に生かし、「意図的にコミュニケーションの場を作る」「社外の新しい発想を取り組む場をつくる」オフィスを要件にした。

採用したのはシンプルかつ可用性・機能性に富んだユニバーサルなデザイン。

1階のメイン通りに面したガラス張りの光の差し込むエリアは、まさにカフェのような明るくカジュアルな空間が広がる。大小様々なテーブルの多くは可動式で、モノトーンの椅子もすべて同じ規格でそろえ、用途に合わせて自由に配置を変えることが可能だ。また、壁面の会議室はすべてガラス張りで閉塞感がない。収納可能な二つの大型スクリーン、階段状のステージなど、セミナーをはじめ使用用途によっては必要となる設備もきちんと設けながら普段は空間の中に自然に溶け込んでいる。

2階3階の執務エリアは、デスクをすべて同じ規格でそろえ、組織変更時など容易に席を移動することができる。フリーアドレス席や通路を生かしたカウンター席も設け、出張者の席やフリーディスカッションの席も十分に確保した。

また、いずれのフロアにもあえてレトロな黒板を設置し、学校で学んだ子供時代のように柔軟なアイデアを思いのままに描くことが可能だ。

ガラス張りによる個室会議室の『見える化』、壁や間仕切りをなくしたオープンな空間、人が集いやすいカウンタースペースなど、『意図的に』社員同士が顔を合わせてコミュニケーションする場所ができました。ここは、言わば規制特区を意味する『SandBox(砂場)』です。組織や所属を超えて自由にアイデアをぶつけ合い発想を形にする、という狙いがあります。それは社員同士に限らず、社外の方とのコミュニケーションにも言えることです。カフェのようなカジュアルな雰囲気も、イノベーションを起こす新しい発想や活発なコミュニケーションを育む環境として適していると考えています」(総務部前島さん)

新オフィス

そして、この新オフィスを十分に生かすためのネットワークインフラとして必須だったのがセキュアな無線LAN環境だった。

このようなオープンでフリーな空間ですから、無線LAN以外の選択肢はありませんでしたね」(総務部前島さん)

無線LANの導入にあたっては、利便性と共にセキュアなネットワーク環境が必須要件だ。そのため、総務省発行の手引き「企業が安心して無線LANを導入・運用するために」に準拠している「証明書認証方式」を採用することで決定した。

「証明書認証方式」は、ジャパンシステムが得意としている無線LAN環境構築の一つで、管理者側で設定したクライアント端末ごとに電子証明書が発行・認証されることでネットワーク環境に繋がる仕組みだ。電子証明書はネットワークへの入館証のようなもので、電子証明書が発行されなければネットワークへ繋がることもなく、たとえ外部不審者がオフィスに侵入できたとしてもネットワークにはアクセスできないため有線LAN以上のセキュリティを確保できる。

また、コストメリット、およびユーザ・管理者双方に負荷の少ないソリューションである点も重要だった。

これらの要件を満たしたのが「HP Aruba(以下、Aruba)」を中心とした無線LAN環境だった。

無線LAN環境

効果

セキュリティ、利便性、負荷軽減を実現

Arubaは証明書認証方式への対応はもちろん、インスタント・アクセスポイントの仕組みを利用することによりアクセスポイントを管理するコントローラーを導入する必要がなく初期費用を抑えることができる。さらにClient Match機能によりアクセスポイント同士で動的な負荷分散が図られ一台当たりの負荷が平準化される。アクセスポイントを余分に設置する必要もなくなり、このこともコストメリットにつながった。

インスタント・アクセスポイントの仕組み

証明書認証にはActive Directoryを活用し、Active Directoryから管理者が設定したクライアント端末へ一括で電子証明書を配布する仕組みを採用した。これは、認証されたクライアント端末であればユーザがPCを立ち上げるだけでネットワークに自動で接続され、社内移動でアクセスポイントが変わっても接続を切り替える必要がない。しかも管理者側はActive Directoryで一元管理が出来る。「以前はID/パスワード方式の無線LANを利用していましたが、アクセスポイントが変わるたびにユーザはIDを選択しパスワードを入力する必要がありました。また、セキュリティを確保するためには一定期間でパスワードを変えなければならず管理者の負担になっていました。証明書認証方式を取り入れることでセキュリティレベルのみでなくユーザの利便性や生産性も向上し、管理者の負荷も軽減することが出来ました。」(総務部 前島さん)

Active Directoryから管理者が設定したクライアント端末へ一括で電子証明書を配布する仕組み

電子証明書をActive Directoryから配布する仕組みを応用し、指定のSSID以外は表示も接続もできない設定も取り入れた。さらに現在、iPhoneやiPadなどのiOS端末向けにも同様の認証が行えるよう、HP Aruba Clear Passによる電子証明書の配布をテストしているところだ。なお、外部者向けにはネットワークを分離し、ID/パスワード方式認証の無線LAN環境を整えている。

今後の展望

イノベーションを後押し

「当社が目指すビジネス、働き方を推進するため、今後はさらにこれまでにない発想でイノベーションを後押しするようなオフィスを創造していきたいと考えています。例えばですが、リゾートにいるかのようなくつろぎや特権的な気分を感じられるようなオフィスです。その実現にはITインフラが欠かせません。弊社の発想と技術力の強みを生かし、お客様へのご提案はもちろん自社で積極的に取り入れていきたいと考えています」(総務部前島さん)

ジャパンシステムの働き方改革は今後も続いていく。

お客様の声

「ここは、言わば規制特区を意味する『SandBox(砂場)』です。組織や所属を超えて自由にアイデアをぶつけ合い発想を形にする、という狙いがあります。このようなオープンでフリーな空間ですから、無線LAN以外の選択肢はありませんでしたね」

取材対応

ジャパンシステム株式会社
業務管理本部副本部長 総務部部長 前島 淳

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