コラム

業務のIT化を考えるコラム①「分析の可視化対象はフロー(流れ)だけではない」

2016.02.24

ジャパンシステム株式会社 コンサルティングアドバイザー
株式会社アトリス アーキテクチャー開発執行役員 長嶺 亮

組織の業務を可視化する手段として「業務フロー」を記述する方法があります。しかし、業務フローを起点とした分析で業務システムの構築を試みると様々な困難に直面することがあります。これは業務フローの表記の問題ではなく、そもそも業務の捉え方の問題ではないかという問題提起からコラムを開始しようと思います。

組織の業務をシステム化するということ

組織の業務をシステム化する場合、主に以下の期待が込められているかと思います。

    • 1、正確な情報の投入を支援すること

    • 2、投入された情報を(適切な範囲で)共有すること

    • 3、投入された様々な情報の集計を迅速に行うこと

    • 4、上記を通じて、業務の効率化を図ること

業務の効率化を図る目的や意義はコスト削減、顧客満足度向上、現場従業員のアウトプットの均質化等、組織それぞれにあると思われますので、業務効率化の目的や意義について踏み込みませんが、その目的や意義が何であれ、組織において現場レベルおよび、管理者レベル双方の業務をより効率的に遂行する為の手段としてシステム化を選択されるのではないでしょうか。

システムが業務の効率化に寄与するためには、システムを使って業務を確実に遂行できる事は言うまでもありません。

業務を遂行する為の仕掛け

議論を進める前に、業務について(それがシステム化されているか否か、するか、しないかに拘らず)次の問いを考えてみてください。

何故、組織の中では業務を継続的に遂行することが可能なのでしょうか?

ビジネス書や教科書などでよく登場する、「経営の三要素」と言われている「ヒト」、「モノ」、「カネ」が存在するからでしょうか?

もちろん、それらの存在も大切ですが、それでは、次の問いを考えてみてください。

「ヒト」、「モノ」、「カネ」を集めさえすれば、業務は継続的に遂行できるのでしょうか?

自分でそれらを集めて来て試そうとは思いもしませんが、推測するに、「ヒト」、「モノ」、「カネ」を一か所に集めてきたら、「ヒト」が「モノ」や「カネ」を持ち去り、これら三要素もろとも雲散霧消するのが関の山でしょう。とても業務としての動きは期待できません。

普段あまり意識することは無いかも知れませんが、業務が業務として継続的に成り立つ為には、その根底に、「業務が流れる為の仕掛けが存在しているから」と考えなければ、この現象を説明することは出来ません。

根底にこの、「仕掛け」があるからこそ、その仕掛けに則して、「ヒト」が業務を遂行し、そうすることで「モノ」や「カネ」が然るべき所へ動き、そして、次の業務へとつながり、・・・と、こうして業務は継続的に流れるようになると捉える必要がありそうです。

業務の仕掛けを用意してあげない限り、自然発生的に業務が流れ出し、継続して流れ続けるということはあり得ません。(自己組織化と言われる自然発生的に組織立った動きが現れる場合についても、その根底には自己組織化をもたらす何らかの仕掛けがあるのでしょう。)

そこで、業務が業務として遂行できるためには、業務「流れ」とは別に、業務を流す為には、業務の「仕掛け」が存在するのではないかという考え方を提示してみます。

(ちなみに、「業務の仕掛け」は「組織」とも異なります。「組織」も、その仕掛けに合わせて構築される、従属的な存在と考えられます。何らかのしたい事の為に仕掛けを用意し、その仕掛けの上を業務が流れるようにする為に組織を作るのであり、組織を作って何をするかを考える訳ではありません。←きっと、このような組織はその内、自然消滅するでしょう。)

今回は、議論の導入として業務が「流れる」という現象が生じるのは、それを「流す」ための「仕掛け」があるはずだという考え方を提示してみました。

組織の中の現実の業務では現場担当者が意識してようがしまいが、この仕掛けは存在しており、結果として業務を遂行することが出来ています。

ところが、業務をシステム化するとなると、システム基盤上にはこの「仕掛け」はまだ存在していません。

業務をシステム化すると言う事は、システム基盤上に表面的な業務の「流れ」を再現する事ではなく、流れの根底にある業務の「仕掛け」を意識して用意する事であり、「仕掛け」をシステム基盤上に用意した結果、システムで業務を「流せる」ようにする事であると考えます。

次回はこの「流れ」と「仕掛け」についてもう少し踏み込んでみようと思います。

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