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早稲田大学との「人口減少時代における持続可能な都市」についての共同調査研究について【後編】

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【後編】では、このたびこの調査研究に携わった早稲田大学の朝日透先生、高橋浩先生、早稲田大学修士課程の工藤さん、指野さん、およびジャパンシステムの公共事業本部ソリューションストラテジスト松村俊英の5名で実施した座談会の模様をとおし、本調査研究内容をご報告させていただきます。

①『社会問題解決リーダー育成のための文理相乗連携プログラム』プロジェクトの概要と意義

朝日先生:このプログラムにおいて、文部科学省が、大学院博士課程で教育を受けた人材を一般的な社会、特に企業で活躍する人材として育てる施策を考えていきたいという大きな柱がありました。その背景には、企業でも活躍できる博士人材を育てるという、そういう大きな流れがあります。
諸外国では、博士人材は、アカデミアにとどまるのではなく、様々な企業で活躍するというのが当然になっていますが、日本では 、まだ「末は博士か大臣か」という時代の名残があり、まずはじめに、博士人材の「希少価値」という概念を変える必要があったのです。 そこで、最初に文部科学省が考えた事が、「企業というものを肌で感じさせる」ため、インターシップという一つの手法を通じて、博士人材に企業で役立つ為にはどの様な能力が必要なのか、を体得させるというものでした。このプログラムは、すでに、文部科学省で5年間実施 しました。採択されると、大学は5年間財政的な支援を受け、年間8千万~1億円くらいをかけて、我々早稲田大学も約80名の博士課程学生およびポスドクを、国内外問わず、様々な企業や研究機関にインターシップとして送り出しました。
そのような中で、博士課程に身を置く学生たちは、企業での研究と、大学での研究との違いを理解したり、多様な人達と協働しなければならないなど、そういった経験をします。
このプログラムは、非常に勉強になる良いプログラムです。なぜなら実際に企業に入ってみますと、様々な人とチームを組んで、 仕事の成果を出していく必要性があり、本プログラムはまさにそうしたことを経験することができるためです。極端な話ですが、性格や文化・価値観が全然異なる、そういう人達とチームを組んで成果を出していかないと企業ではなかなか評価をされないのです。
実はそれは大学における大型プロジェクトでも同じであり、年間一千万程度の科学研究費を3年間もらい自分自身の研究をするとい うプロジェクトなどもありますし、年間5千万から1億の大型のプロジェクトもあります。これらのプロジェクトでは、チームを結成して、 大学の総長・学長のもとで様々な分野、学部の教員たちが協力してミッション達成に向かって行きます。ですから、企業においても大学においてもチームを組んで大きな仕事をするという事が、当たり前になってきています。
しかし、この様な大きな流れについて、インターシップという仕組みだけでは対応できないと考えた文部科学省は、次の新しいプログラム事業として、「実践的研究リーダー養成事業」というプログラムを立ち上げ、公募しました。このプログラムは博士課程学生だけ でなく修士課程学生も対象としています。大学院生がチームを組み、課題に挑戦するプログラムです。決して個を育てるわけではない。チ ームとして、合計2週間、企業から課題をもらい、企業とのやりとりとの中で様々な事を学ぶ、このようなプログラム内容でした。
そこで私たち早稲田大学では、チームを大胆に理系と文系で構成しました。専門分野や考え方もライフスタイルも異なる理系と文系の学生がチームを組みます。その中には博士課程学生も修士課程学生もいます。ただ、リーダーは理工系博士とする、そういうプログラムのスキームにしようと考えました。文理相乗連携です。課題についても、エネルギー問題や環境問題や食糧問題など、あらかじめターゲ ットを絞って実施することも考えました。しかし、我々がそういうことを考えるよりも、むしろ企業が今後実施していきたいと考えている事を、学生がコーディネーターの先生方と一緒に相談して、絞っていくという事を提案しました。そして実施したのが「社会問題解決リーダー育成のための文理相乗連携プログラム」です。
幸いにして高橋先生の広いネットワークのおかげで、非常に多岐に渡る社会問題を扱ったテーマが出来て、そしてそこに政治学研究科の先生、商学研究科の先生に参加してもらったおかげで、様々な学生が参加してくれました。
以前行われていたインターシップの場合、活動の舞台は企業でしたが、今回のプログラムの場合は必ずしも企業でなくても構わないのです。その他、色々条件はつきますが、我々としては、その点を非常に評価しました。それは、今後は大学においても、企業や行政、 自治体との協働プログラムに関わった人材が、大学に残り、その経験を生かし後進の指導に当たる、というのが大切な事となると考えるか らです。プログラムに参加した学生がすべて企業に入ってしまい、大学にリソースとして残らないとなりますと、結局また同じ人材を育て なければなりません。このプログラムに参加した学生たちが将来大学教員となった際に、皆で協力し、企業の方々にもこのようなプログラ ムに参加頂き、このような人材育成に時間を割いてくれるような、そんなサイクルができたらいいなと思います。
もちろん企業に行った人材に関しては、社会問題という目先の事ではない様なテーマに取り組んだという経験を生かしいて欲しいですし、またネットワークを生かして、通常の博士人材とは一線を画した人になって欲しいと思います。

松村:このプログラムを通して実際数多くの方が企業に入っていますが、その追跡調査、コメントなどはありますか?

朝日先生:追跡調査できていません。ですがこのプログラムでの経験は、後々必ず彼らのキャリアパスに生きていくと思いますし 、そういった意味でも定期的な追跡調査はやった方がいいと思いますし、大学の使命としてやるべきと思っています。また、就職した学生たちから集まる機会を作って欲しいという要望があるため、今後実施していきたいと考えています。

松村: OB、OGの人達からそんな要望が出るという事は、やはり、実施して良かったですね。

朝日先生:学生達が次の世代に伝えてくれています。「知る人ぞ知る」という感じで繋がってきてありがたいです。全然違う学科から学生たちが集まっています。学生間で「こういうプログラムがあるから是非やった方がいいよ」と口こみで広がるといった具合です。 これは我々にとって本当にありがたい話です。

高橋先生:定量的な評価ではありませんが、定性的評価として、進路が決まった際など、そういう時にきちんと報告をくれます。 こちら側から聞くのではなくて、自己申告でしてくれる事は、このプログラムの目的に合っていたと思います。就職の際の面接の質問で、 「こういうことを何で聞かれるのか」を考えてから答えるようになったそうです。「質問者が何故そういうことを聞きたいのか」というの が、訪問調査などをした経験や、まとめた事に関して、「自分なりに答えたけど、相手の求めている答えではなかった」などの経験を数多くしました。それにより、コミュニケーションというのが、「自分たちの考えている事だけを言う」のではなく、「相手の言っている事をどこまで理解するか」という事だと気付いたと言ってもらえ、実施して良かったと思います。

松村:学生さんのコミュニケーション能力は、なかなか通常の授業などでは涵養されにくいものでしょうか。

高橋先生:大学でのコミュニケーションでは、「自分の考えをきちんと伝える」能力が特に必要ですが、社会では、「自分の考えを伝える事と、相手が何を言って何を望んでいるかを理解して適切に答える能力」が必要になってきます。
このプログラムで気付いたのかもしれない、気付かなくとも、少なくとも考えるようになったというのは、学生たちが育ったことだと思います。
瀬川先生たちが、送り手と受け手になり、それをコミュニケーションとしてきちんと教えていく。相手側がどう考えているかを受け、咀嚼でき、それに対して正しい発信ができる、これが早稲田スクールの一つの柱です。送るのは出来るが受けるのは難しいものです。

松村:なかなか相手の性格まで理解した上でコミュニケーションを取るのは難しいし、各人が持つナレッジベースも千差万別です 。コミュニケーションは、こちら側のデータベースを広くもたないと難しく、狭い範囲しか持てないと、相手の話が逸れてしまう。

高橋先生:面白いと思った事は理系と文系の学生が混じると、文系の学生の方が縛られずに発言を多くします。瀬川先生(早稲田大学政治経済学術院教授)によると、理系の学生は「優秀ですがまわりに押されてしまう」そうです。文系の学生が縛られるものがなく話してくるのに対して、理系の学生はすごく自己制御を効かせているそうです。逆にロジックに話すのは良いことですが、緻密に話していると、ものすごく違いが良く分かる、と言っていました。
ですから、逆にそういうことを見る事が学生の経験として、ものすごく勉強になると思います。大学院くらいになると、一つの仕事や研究が与えられると、プロ意識が芽生える。
文系と理系でお互いの強みが分かって組むと、相乗効果が生まれ強くなるのだと思います。

②『社会問題解決リーダー育成のための文理相乗連携プログラム』でこれまで取組んだテーマ

高橋先生:この企業演習というのを考えますと、大きく分けて3つの観点があります。
1つがグローバル、全国および全世界に向けた課題に取り組むという事です。2つ目は、課題の中において、地域、地域をどう考えるか、特に地域連携の問題です。それから3つ目が、地方自治体の皆さんが何を考えていて、その課題にどう取り組むのかということです。
その3つの切り口から選んでいまして、具体的には2050年の日本のエネルギーがどうあるべきか、2030年食糧問題。特に食糧の安全保障をどう考えるか、都道府県と経済界の連携から地域全体をどう見るか、などです。地方自治体ケースですと、早稲田大学は佐賀県と包括連携をしていますが、今後は基礎自治体である市町村レベルとの連携も進めたいと思っています。

③今回のテーマについて解った事

工藤さん:現場の方が頑張っている事が非常に印象深かったのと、訪れた方たちも情熱をもって仕事をしていた事が非常に印象的でした。ただ、裏を返せば、非常に属人的な仕事となっているのでは、とも感じました。

指野さん:地方自治体の方が大変苦労していると感じました。その中で、当該としての問題だけではなく、周辺市町村の問題や、そこに居住されている地域住民の方の声を意識した行動をとる必要があるため、より問題が複雑化しているのではないかと感じました。
その上で、より多くのステークホルダーの意思を踏まえつつも、住民の一人一人の意見を見殺しにしてしまわないように活動を行うためには、行政として制度的にも、制度以外の面でも、どういった取り組みをしていくべきか、色々な事例を知る事ができたと感じまし た。

④今後に残った課題

工藤さん:佐倉市さんがおっしゃっていましたが、いくら頑張った所で、近隣との調整という面になると、ひとつの自治体だけで は、今回の演習テーマ「人口減少時代における持続可能な都市」を完結するのはなかなか難しいと考えています。これは成果として分かった事の一つです。

松村:例えば広域の拠点をここに作りましょうというという提案はできますが、決める権限がひとつの自治体にだけある訳ではありません。何とか検討するプロセスに持ちこめても、そこで議論が延々と続き、なかなか決まらない状況になってしまうという事ですね。

工藤さん:はい。例えば、実際に青森の例のように、首長が変わると方針も変わってしまいます。一応、引き継いでいる方ではありますけど、結局、中身は実質的に後退しているので、属人的と言ったのはそういう点です。現場の方々が情熱をもって仕事をしても完結させる事が出来ない状況が、気になりました。

松村:まちづくりは10、20年で考える事ですが、首長さんは下手をすると4年ごとに変わるものですからね。 

朝日先生:例えば、首長さんが任期の間に、議会から承認を取ってプランを作り、いざ始動となっても、では、隣の自治体と一緒にやろうと考えた時にどういうプロセスが良いかが問題になります。まず、首長や、行政のトップに理解してもらい、次に議会に理解をし てもらう。実現するには、市幹部なり市長が、またはその周辺までネゴシエーションして、さらにロビー活動をして、約半年くらい?どのくらいの事をやれば良いのか、って知っておきたいですね。

松村:まず首長さんや市幹部の方が「こういうことをやらなきゃ」と思わないと始まりません。国レベルの決め事が沢山あって閉 塞感もあり、また、今の「三権分立」が実は手足をしばっているのではないかと思っている方もいらっしゃいます。ある意味、ソフトな独裁制の中世の都市国家みたいなのが理想ではないかと。いずれにしても首長さんが権限を持っているということですが。
「自治体の持ち物を減らしましょう」というのは政策的にも言い難く、そこをどう突破するのかが難しい所です。ただ、このままでは財政的に持続可能性が無いのは明らかで、人口が2050年に9千万人台に減る事が予測される中で、今と同じだけの建物は、3割4割人口が減ると、その分必要ではなくなります。建っているだけで、コストが掛かる。この件について早く、議論のテーブルについてもらうためにも、早稲田大学には情報発信をお願いしたいです。日本の国の形をどうするか、の議論も含めて。
一方では、まだ、不要不急の施設を作ったりする動きもあります。財源は借金です。この様な事を防ぐために、選挙権/被選挙権 を10歳くらい下げて、借金を背負わされている若年層にひとり3票の重みを持たせることも考えてみても良いかもしれません。

工藤さん:財源たる公債の発行を市場の規律に委ねる方法が有るのではないでしょうか。国が地方の公債発行を管理していると聞ていますが、日本では法的にまだできませんか。

松村:ルールとしては「地方債協議制」という事で、総務大臣などの同意がなくとも、発行出来る様になってはいるのですが、事 実上は、国に管理されていると言えるでしょう。

工藤さん:今回のお話でどこも皆さん「公共施設を縮減しないと持たない」というのは分かっていると感じました。でも、実際理 屈としてわかっていても現実として摺り合わせるのが難しい。自治体の方々が実際そう言っています。そこをどうコンパクトシティにして 、現実的にそれをどうやって動かしていくかについては、身も蓋もないですが、「コンパクトシティ化を実施した団体にはおカネが出る」 という事でしかないかと。

高橋先生:多分、困った時は誰かが助けてくれるという構造です。食糧危機の問題、北海道ではTPPは外圧で仕方がない、壊滅するまでにやれるだけのことをやろうという機運がある。多くの自治体には、大きな外圧がないから、危機意識がありません。竹下政権の「ふるさと基金」も、今にして思えば、時期尚早で、本当に困って、自分で考える様になってから実施されれば良かったのではないかと思います。

松村:財務省のつくる「国のバランスシート」を見ると、平成24年の一般会計で470兆円の債務超過があります。日本のGDPは一時 500兆と言われていましたので、つまり、日本の全国民が稼いだ付加価値分と同じくらいの額です。結局、その分の税金を払わずに過去世代 と現役世代が受益している事になります。それがいつ閾値に達するかは解りません。10年は大丈夫という人もいますが、明日デフォルトするという人もいます。
日本人は、世界から自ら問題を設定して解決できない民族、と思われているかも知れませんね。韓国が97年に財政破綻した時は、 大統領が予算書にサインしてもIMF専務理事のサインがないと予算執行が出来なかった、と何かで読みました。そういう風になればいいので しょうか・・・。そうなると「一件落着」ですが・・・。
さらに、日銀も危ない状況で、バランスシートを見ると、国債が200何十兆あります。結局、日銀が「財政ファイナンス」を行って 、必死にマネーストックを増やそうとしていることになります。

工藤さん:正直、あまりに額が巨大すぎて、現実感が沸かないです。ごく素朴な感覚としては、そもそも98%が国内に出回っていて、国民は債権者であると共に債務者であるという状況がデフォルトの危機感をさらにリアルじゃないものにしているのかな、と思います 。

松村:金融資産を持っている人は比較的、所得の高い人に限られる一方で、累進課税なっているとはいえ、その償還原資は、万遍 なく国民全体が背負うわけです。年金基金は債券等で運用しているでしょうから、デフォルトしたらお年寄りの年金もパアです。国民全員 にその覚悟が出来ているなら良いのですが、そうで無いなら、政治家がはっきり「こんな事になっている。なんとか正さないといけない」 と国民に説明して、具体的な動きを起こさないと、若い世代がやる気にならないと思うのですが。

朝日先生:相続税の税制改正問題なんかはメスを入れた良い例ではないかなと思います。財務省が一番望んでいるのは高齢者で資産を持っている方がその資産を「開放」してくれること。法人税や消費税の税率を上げても、税金を払っていない人や中小企業が多いです 。「中小企業は弱いから、払わなくて良い」と言っている人もいますが、中小企業は下請け防止法で守られています。だから競争心が湧かないのではないか、良いか悪いかは別として、日本は社会主義的要素が強いと感じます。

松村:やはり相続税、資産課税がすごく効き目があるらしいですね。富の分配が垂直的にみて、とても歪な形になっています。将来世代の富を我々現役世代が簒奪する事によって辛うじて経済を支えている。垂直的な歪さについては、決して等閑視し得ない問題です。

⑤『社会問題解決リーダー育成のための文理相乗連携プログラム』を将来に向けてどう生かすか

工藤さん:チームを組んで物事を進める事に関して、テーマに限らずですが、そういう作業自体が印象深く勉強になりました。途 中でリーダーが多忙につき抜けてしまい、色々バタバタとしましたが、本来なら我々学生がうまく対応しなければいけなかったところを武 田さんが素晴らしい調整をしてくださいました。間近で拝見して、「チーム作業はパフォーマンスなんだな」と感じられました。こういったことは、意外に暗黙知的なもので、実際に身近に経験しないとなかなかわからないことですし、社会でどんなポジションに居ても、そういったことは求められるのだと思います。非常に良かったです。

指野さん:私は将来的には政策の提言や、立案の方に関わりたいと思っています。今回おこなった、仮説を立ててそれを実証するというプロセス自体がそうです。社会の問題を解決していく上で、実際の正論的な問題だけではなく、運営上の問題であったり、そこに関 わる人々であったり、組織であったりといった問題が色々考えられると思います。
様々な側面から物事を考えて行くという力として今後に活かしていきたいと考えています。今後に残った課題ですが、私たちが取 り組んでいた期間が短かったこともありまして、成功事例だけを取り上げて実地調査を行いましたが、実際は失敗の面もあるのではないかと、私たち自身も考えています。
市長の交代によって方向性が変わってしまった事などの失敗の側面もあると思いますので、成功の側面と失敗の側面の両方から物事の問題を取りあげる必要があると思います。今後はそういった姿勢を活かして後輩たちに取り組んでいってもらえたらと思います。 

松村:高橋先生からのお話にもあったように、都市部以外の自治体さんでは、より切迫感があると思います。既に、医師不足や高 齢化の進展など、問題の深刻化が始まっています。例えば、寒い地方では、雪が降れば雪かきをしないといけないし、除雪費に多額の予算も必要としていて、リアルさがあります。我々には逆にそういった事がないですよね。雪が積もって困ったって事が起こり、初めてそういった実感が出てくるわけです。
東京が本当に困ったときに取り組み出して間に合うかどうかですよね。
指野さんは政策の立案や提言をやられるという事ですが、一番難しいのはそういう所なのかなと思いますので、危機感をもって早 く対応ができるようにしていただきたいです。
シンクタンクや研究所に入られるのですか。

指野:そうですね。シンクタンクもですけど、できれば省庁・官庁でやりたいと思っています。そちらの方で活かして行きたいです。

松村:何度も繰り返しになりますが、現役世代が様々な分野で圧倒的に「大きすぎ」て、将来世代を色々な意味で圧迫している。 それが日本の抱える諸問題の根源ではないかと思っているのですが、若い方はその辺をどう考えておられるのでしょう。

工藤さん:ごくごく個人的な意見ですが、我々世代さえ貧乏くじを引けば、あとは上の世代が亡くなって行けば平準化してゆくはずで、それならば、覚悟決めて引き受けるというのもありなんじゃないかと思ったりもします。少なくとも、人口動態上は、それが一番素 朴な方法かなと。もっとも、当然負担は少ないほうがいいに決まっていますので、その緩和に努めることを諦めるつもりはないです。負担のインパクトをどの程度まで引き受け、あるいは分散させていくかということを現実的に検討していかなくてはいけないと思います。

⑥今後企業に期待する事

朝日先生:我々としては本プログラムは教育的にも良かったと思っています。御社は大学とのこのようなプログラムについて、こういう事だったらまた是非やりたい、またはこのような事が可能です、などということがあれば教えてください。

松村:自治体をフィールドにして、皆さん方の知見をオープンにして頂けるのは大変ありがたいです。東京あたりの自治体ですと 大学もいっぱいありますし、交流もできますが、少し離れるとなかなかそういう機会が持ちにくいという事もありまして、早稲田大学に問 題解決をいただければ、あるいは提言していただける事があれば自治体の方も大変喜ばれると思います。その輪に私たちも関わって、何かお役に立てれば有り難いと思います。

高橋先生:朝日先生から社会問題という言葉が最初にあり、早稲田以外の他の三大学は理系が中心に、理系の研究テーマを企業の中で実施しました。
それに対して社会問題は、すごいテーマ設定だと思います。企業で、この企業演習において、社会問題という設定を会社の中で取 り上げるのは非常に難しく、ある意味ではお引き受け頂いた企業の部長クラスが自己責任の中で参加しています。それに比べて、今回のジ ャパンシステムは、社会問題とこれからのビジネスという所が結びつき、今回でいうと高い立場、ヘリコプタースコープの立場から勉強させて頂いた事を本当に感謝します。
社会問題というテーマで実施するにあたり、ジャパンシステム、シンクタンク系の皆様にご協力いただかなければここまで出来なかったと感じます。私は今回のジャパンシステムさんが社会貢献ということで、きちんとスコープを考えていらしたので、企業としての文 化もさることながら、色々とますます見やってもらう事が我々として非常にありがたかったです。(了)(2014年5月24日記)(文責:ジャパンシステム)