未だ経験したことがないコンサルティング領域への挑戦が、公共分野における可能性を広げる。
未だ経験したことがないコンサルティング領域への挑戦が、公共分野における可能性を広げる。
時代の要請に対応し、行政経営ソリューションも進化する。
地方自治体向け財務会計システム『FAST』が誕生して30余年、全国250団体を超える導入実績と関東ではシェアNo.1を誇る『FAST』は、ジャパンシステムの顔として押しも押されぬ存在となっている。その『FAST』を中心に情報セキュリティも含めたさまざまなソリューションを提供し、円滑な行政経営をサポートしているのが公共事業本部だ。
同事業本部で20年にわたり公共団体のシステムソリューションをサポート・実現してきたS氏は、公共事業ソリューションの遷移についてこう語る。「以前は単純にお金の出し入れだけを管理する、財務会計のパッケージシステムを導入して、自治体ごとの独自のカスタマイズに対応していれば済んでいたのですが、近年は時代の流れに応じてお客さまである公共団体の行政管理業務も進化してきました。それにともない新たな課題解決に対応するソリューションの提供を求められています。大きなトレンドとしては地方公共団体の新公会計制度導入への対応ですね」。
新公会計制度とは、地方自治体の財政健全化のため公会計の整備を目的として2006年に総務省が策定したもの。2015年1月には『統一的な基準による地方公会計の整備促進』という総務大臣通達が出ており、公共団体はその対応にギアを入れ替えているところだ。
fast 行政経営支援サービス
蓄積されたノウハウと実績で、変化に即応できる強み。
そうした新たな課題へのジャパンシステムの対応はどうだったのか、こうS氏は続けた。
「もともと両方の課題とも当社にとって得意とする分野ですから、とくに慌てることもなく先手先手と対応してきました。公共団体の新公会計制度導入については、他社に先駆けて『FAST新公会計対応版』を2009年に出したほか、総務省から次々に出る基準モデルに準拠する改訂版で対応しています」。
地方自治体の財務会計処理を中心に、関連する行政サービス業務の隅々までを知り尽くしているジャパンシステムの強みがいかんなく発揮されてきたといえよう。
そんな無敵と思える公共事業本部でも、ある地方自治体からの依頼案件を一度はお断りしかけた事案があったという。しかし、チャレンジ精神で事業本部をあげて受けることになる。そのときプロジェクトマネージャーとして白羽の矢が立ったのがS氏であった。
公共事業本部の業務に上流工程コンサルティングの新たな道を開く。
「東京都S区からの依頼は、新公会計制度に対応するシステムを導入するにあたってのいわゆるコンサルティングだけの案件でした。S区は『FAST』も導入されておらず、当社としてはまったくの新規のお客さまです。公共事業の場合、導入が決まったパッケージのカスタマイズから入りますから、新規システム立ち上げのコンサルは私も含めて誰も経験したことがありませんでした。ジャパンシステムに声がかかったのは、前年、東京都のとある区に『FAST』を中心とする新公会計制度システムを23区内で初めて導入した実績を買われての指名だったようです」。
S氏はプロジェクトマネージャーを引き受けるにあたり条件を出した。業務分析などコンサルティングに強い者、公会計に強い者をチームとして編成すること。システム構築知識はS氏がもっている。そうして各マターに優れた3人のチームが編成され、『S区新公会計制度導入支援コンサルプロジェクト』が2015年4月1日スタートした。
スタート当初、S氏たちは何をどう手をつけたらよいのか分からず、途方にくれたという。S区側は同プロジェクトに部長クラスの集まる検討委員会、課長・係長クラスの作業部会を設け、随時会議を行いつつ進める体制をとっている。ジャパンシステムはその会議を主催しコンサルしてゆくというスタンスだ。「とにかく何かしなくてはというところで、他自治体の組織体系、実務体系、科目体系など既存事例を可視化した資料をつくり、そこにS区を照らし合わせて課題抽出することから始めました。あとはS区として何を管理したいのか、どんなやり方を実現したいのか、といったヒアリングと現状分析、そして体系づくり、課題抽出、提案の繰り返しです」。S氏たちは毎週のごとく役所に足を運び、ヒアリングを重ねた。検討委員会では理想を語っていただき、作業部会と現場では実務の現状をこと細かくヒアリングし分析してゆく。課題は大小合わせて20個あったという。課題をひとつの事業管理とすると、分析は管理対象の事業・作業を縦軸に置き、それにかかわる部署・人を横軸に添え、行っていることとかかわる人をマッピングしてゆく。往々にしてひとつの事業に複数の部署がかかわり、責任の所在が不明確だったり、会計に不都合が生じたりしていた。これを組織と事業を1対1に整理整頓してゆくのだ。そうやって課題一つひとつの体系をつくると何を変えてゆくべきかが見えてくる。コンサルの肝になる部分といっても過言ではない。
スタートしてまだ2週間くらいの手探り状態のころ、その後の進め方を大きく左右するできごともあったという。「会議である提案をしたところ、『そんな提示の仕方はコンサルタントじゃない!』と、強い口調でお叱りを受けたのです。これまで私たちは提案するときに3案くらいを提示し、どれがいいですかとお客さまに選択を委ねる方法を採っていました。しかし、それではダメだと。複数提示するのはいいが、クライアントに選ばせるのではなく、プロならそのなかのベストチョイスを選んで勧めなさい、ということでした。それからの提案は、それぞれのメリット、デメリットを含めて説明したうえで、この案が最適だという形でプレゼンするようにしました。そうするためには現状を深く細かく分析し、理解していなくてはなりません。コンサルティングの在り方をひとつ勉強させていただいたできごとでしたね」。
同プロジェクトは2015年4月1日から2016年3月31日までの1年度と期間が決められていた。どんなことを実現するシステムにするかコンサルティングし、業務・システム要件をまとめてジャパンシステムのミッションは終了する。チームもそこで解散となる。
S氏はその1年を振り返ってこう語った。「手探り状態で始めたミッションでしたが、やり切った達成感と、最終的にはお客さまに満足していただいた充実感があります。個人的にはこれまで携わったことのない上流工程のコンサルティングという分野のスキルトランスファーができ自信にもなりました。加えて自分たちの力でコンサル業務ができたこと、その道を開いたという意味でも有意義な仕事になったと思っています。2017年1月1日から第三システム部が開設され、その部長に任命されましたが、当部はそれこそ私がS区でやってきた上流工程のコンサルを主業務とする部署です。もちろんコンサルで終わりではなくシステム開発までつなげなくてはなりませんが、フロントに立つダイナミズムを大きく展開してゆきたいと思っています」。
プロジェクトのフロー
K.S
公共事業本部システム本部
第三システム部長