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地方から世界をリードする「本物の豊かさ」を創る①「前門のトラ」と「後門のオオカミ」

ジャパンシステム株式会社 コンサルティングアドバイザー
一般社団法人 地方創生戦略機構 代表理事 中山 泰

皆さん、こんにちは。今回から、「地方創生」のテーマでコラムを担当させていただくことになりました前・京丹後市長の中山泰と申します。

自己紹介になりますが、2004年から3期12年間、合併して誕生したばかりの京丹後市というまちの市長を務めさせていただきました。この間、全国各地で求められている地方創生の上で“真の豊かさ”とは何か?どう創っていくのか?を自他共に真摯に問いかけながら、市民の皆さんとともに懸命に取組みを重ねてきました。

京丹後市は、京都府丹後半島の6町が合併して誕生しましたが、比較的近い大都市部・京都市域からでも100キロ以上離れ、とても魅力あふれるまちですが一見いわば典型的な田舎町です。合併時6万7千人程度であった人口もその後の10年間で結果として6万人を切るほど人口減少も進みました。また、高齢化の進展、産業・生業の衰退、上下水道・生活道路等生活・産業インフラの整備などの基礎的生活環境に係る諸課題のほか、6町という大型合併に伴う学校、病院その他大変多くの公共施設の維持・統廃合、行財政運営の効率化、職員規模のスリム化など多くの課題を抱え、当職として、これら課題の解決に誠心誠意、尽くしてきました。

さらには、昭和50年代から続く“原子力発電施設の立地”要請の撤回を求め、この問題にようやくケリをつけることができ、また、近畿で初めてとなる“米軍基地”(レーダーサイト)の創設の問題でもその受入れを知事と共に総合判断を行い、国政の最重要課題に直結する問題に直面し地域事情に応じその解決を進めるなど、まさに、国政・地方行政通じて、多分に他の自治体以上にいわば“地方自治の現代的な課題の総合デパート”でもありました。

このコラムでは、全国の多くの自治体が共通して対峙し続けているこのような諸課題に対し、この間、首長としてどのように向き合い、各分野でチャレンジを続けてきたのか、そして、成果はまだまだこれからですが依然課題だらけの状況のはずなのに、逆にその中から、ぜひとも地方の魅力をいっぱい受け止めていただくことができる、“地方・地域が本来持つ、とてつもない大きな豊かさの可能性”にワクワクしていただけるような内容にしていきたいと思います。

前置きが長くなりましたが、コラムは、今回を含めて12回(予定)、連続性のあるシリーズですので、まず全体の流れを鳥の目で紹介します。大きくいうと(※)、①地方行政を巡る“前門のトラ、後門のオオカミ”、②「Do」の前に「Be」をこよなく愛することの大切さ、③「困難」の本質は宝物!「明珠在掌」、④「人」をど真ん中に!「人を活かす」ことこそ本物の宝、⑤チャレンジングな地方創生を!、⑤「地方創生」から「地方創星」へ、といったような流れの中で、適宜、「京丹後での取組み事例」をふんだんに挿入してご紹介させていただきます。
(※)あくまで全体の動線であり、必ずしもコラム各号の区切りに一致するものではなく、また、経過の中で縦横にはみ出して展開するかもしれません。あくまで目安です。そして、最終的には、皆さんが住み生活される各地それぞれに“まだまだ考えつくせないほどの夢と可能性のタネが埋もれている”んだということを少しでも実感していただく、ささやかな一助につなげられれば‥と願っています。

「前門のトラ」と「後門のオオカミ」

日本は、世界に先駆け「人口減少・超高齢化社会」を迎え、今後、国の活力をいかに維持・向上させていくのか、将来のますます豊かな国づくりを目指し、昨今、国・地方を挙げて「地方創生」に向け様々な取組みがスタートしているのは御案内のとおりです。同時にそれにとどまらず、今、我が国社会を巡り、国民総活躍社会、働き方改革、女性の活躍、インバウンド推進、生活困窮者対策・再チャレンジ支援、各種構造的格差解消など、様々な国家的、社会的課題に直面していることはいうまでもありません。

一方、これらの取組みを財政的に支える国の行財政状況については、現在まで、国債残高が漸増を重ね一千兆円を超える残高の中で、中長期的な行財政のスリム化への取組みが強く求められています。もちろん地方への影響も顕著で、京丹後市が誕生した2004年からの十数年を見ても、小泉内閣時代の三位一体改革や平成20年からの自治体財政健全化法の施行などにより、歳出の合理化が従来以上に徹底して求められています。

他方、自治体にとっては、この時期は「失われた20年」に続きリーマンショックによる世界不況が地方経済の上に深刻に重なった時期で、本来、国政とともに地方財政による積極的な歳出・需要創出が総じて重要な局面でありました。しかしながら、そう。ここで自治体が直面したのが「前門のトラ。後門のオオカミ」の状況にほかなりません。

単純な構図なのですが、財政健全化に尽くせば、厳しい財政事情の中で住民福祉に直結する地方経済・社会への最小限度の支援にすら覚束なくなりかねない。逆に、窮する経済・社会に必要十分な公的支援を図ろうとすれば財政健全化の要請を壊しかねない。前門に健全化のトラ、後門に経済・社会支援のオオカミ、それぞれににらまれて、動くに簡単には動けない、動き様に窮する事態が当時として顕著さ鋭く現れたのです。だけど、じっとしていたのでは、いつの間にか‥の「ゆでガエル」になりかねません。この状況をどう打開していくか、まちをあげて知恵や工夫が文字通り真剣に問われるわけです。
このときに、京丹後のまちづくりに向き合う姿勢として当職として大切にしたのが、「『Do』の前に『Be』をこよなく大切にする・愛するまちづくり」です。それによって、限りない豊かさがかいま見え、真の「Do」が生まれてくるのです。(次回に続く)

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