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公共施設マネジメントコラム⑧「18歳選挙権と公共施設マネジメント」

ジャパンシステム株式会社 コンサルティングアドバイザー 池澤 龍三

選挙の話と言っても、アイドルグループのセンターを決める総選挙の話ではない。

周知の通り、平成27年6月公職選挙法等の一部を改正する法律が成立し、この夏の参議院議員選挙から選挙権が18歳に引き下げられた。

NHKが昨年末全国の18~19歳の若者3,000人を対象に実施した事前の世論調査によれば(調査有効数約1,800人)、参議院選挙に「必ず行く」と回答した割合は22%であり、「行くつもりでいる」と回答した割合38%を加えると約60%の若者が「選挙に何かしらの興味・関心を持ち、選挙に行く意思を持っていた」ということである。

結果としては、総務省が7月11日に公表した資料によると、18歳の投票率は51.17%、19歳は39.66%で、18歳と19歳を合わせた投票率は45.45%ということである。全体の投票率が54.7%(戦後4番目の低さ)であったことを考えると10ポイント程度低くなっているが、前回の2013年の参議院議員選挙から2.09%回復しているということを考えれば、今回の18歳~19歳の若者層(全体に占める割合は約2%)が大いに貢献したと言えるのではないだろうか。

公共施設マネジメントの世界でもそうであるが、上記のように情報の分析を行う場合、その全体像を把握するのに最も用いられるのが、パーセンテージ(%)の上昇率や下降率である。「前年に対して○○%高齢化が進んだ」等々の表現である。

がしかし、よくよく冷静に考えれば、公共施設マネジメントにおける高齢化の大きな課題は、医療費や介護費などの扶助費の増加に伴う財政悪化であり、これは人口構成費上の○○%増という計算で表現できるものではない。年間○千人(絶対数)の人々が後期高齢者人口に加わることにより、一人当たりの平均負担額(想定)を掛け算した結果として求められるものである。

あるいは、地域別の集会所機能のあり方を検討する場合においても、当該地区の高齢者人口の割合○○%が計算根拠になるのではなく、絶対数がどのように変化するかによって具体的に提供するサービスの場所や大きさ、設備の仕様、提供手法のあり方等が検討されるのではないだろうか。こうして考えれば、むしろその絶対数に注目して思考するベクトルが公共施設マネジメントと言えるのではないだろうか。

これは、今回の選挙について言えば、新たに選挙権が得られたおよそ240万人のうち、45.45%が貴重な一票を投じたということを絶対数に置き換えて言えば約110万人もの若者が行動を起こしたということを示しているのである。これは、全国47都道府県単位の人口で言えば、36~37番目(宮崎県や富山県)くらいの県人口規模全体に匹敵するのである。そう考えれば、非常に大きな動きが新たに日本に加わったと捉える方がポジティブではないだろうか。

いま全国の地方公共団体を俯瞰すると、公共施設等総合管理計画の策定が急ピッチで進められ、またその一歩先として地元の住民への説明会やワークショップなどが徐々に実施されている状況にあるのではないだろうか。

そうした状況の中で多く見られるシーンが、参加された高齢者の皆様からの反対意見に悩まされる地方公共団体の職員の姿である。「我々がつくった学校を統廃合することには反対。学校が無くなると町が過疎化して人が住まなくなってしまうから反対。そもそも人口を増やしていく政策を打つのが役所の仕事だ。」等々と一方的に言われる姿である。

こうした現状を見るたびに、私はふと想うのである。私は現在52歳で、父母は79歳。祖父は私が大学生の時に他界しているが祖母は健在である。もし、私の知っている祖父が公共施設マネジメントの説明会に来ていたら、我々に何と言うのだろうかと。何だかファンタジーの世界のようだが案外真剣に想像するのである。

誠に勝手な想像だが、私の祖父なら、「色々もったいないとか、残したいとかいう気持ちは分かるが、そもそもお金はあるのか。目先の感情で議論せずに将来のことをしっかり見据えなさい。」と逆に叱られるのではないかと想うのである。少なくとも私の想像する祖父は「私がつくった学校…」とは言わないだろうと。

公共施設マネジメントはこれまでの資産を次世代に繋いでいく作業である。かつて祖父から聞かされた「老いては子に従え」という言葉には、単純に経済的に従属するというものではなく、自らがまだその耐力を有している時にあえて次世代に権限を与え、様々なことを実行させ、もし万が一失敗した時は陰からフォローに回れるようにしておくという意味があったのではないかと思うのである。ちゃんと引き継ぎ方を知っていたのではないだろうかと。

かなり勝手な妄想ではあったが、2020年を見据え、日本は今回の選挙を起点に大きく次世代にシフトチェンジさせていかなくてはならない、そういう時期を迎えたのだと感じるのである。先進的な地方公共団体では、すでに小学生を対象としたワークショップも行われている。

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