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公共施設マネジメントコラム③「次世代に残すもの」

ジャパンシステム株式会社 コンサルティングアドバイザー 池澤 龍三

「保育園落ちた、日本死ね」。このフレーズを聞いて、心底から気持ち良く思える人はそうはいないかもしれないが、かと言って、辛辣な表現だと眉を顰め一蹴するだけではどこか納得がいかず、いったいこの表現の真意は何なんだろうとPC検索を続けた人は案外多いのではないだろうか。

全文を読み進めていくと、私自身、強烈に印象に残るフレーズがそこにはあった。

「保育園も増やせないし児童手当も数千円しか払えないけど少子化なんとかしたいんだよねーってそんなムシのいい話あるかよボケ。国が子供産ませないでどうすんだよ。」という部分である。

先ず、ここで言う「ムシのいい話」。この言葉自体を日常の口語体であまり聞くことがなくなった現代社会において、まさに内心ハッとして、その通り!!と感じたのは私だけだろうか。飾らず目の前の問題と対峙し、青臭いと言われてもスマートに問題解決策を一つひとつ実行していく行動力や突破力、プラグマティック性の重要さに気が付いている人々は少なからずいるのである。

公共施設マネジメントの世界においても、自治体で聞かれる言葉は「これまでのサービスは低下させることなく、将来的にはハコモノを○○%削減します。」という言葉等々が溢れかえっているような気がする。しかし、それを聞いた地元住民たちからは、「結局、うちの近くにあった公民館が遠くの施設に統廃合されたら、そこまで行くのに時間が掛かってしまい、サービスの低下を招くじゃねーか。反対。反対。」との“大きな”声が上がるのである。そこには、どこかお互いが「ムシのいい話」を投げ掛け合っている景色が浮かんで来るのである。

今後は、「本当に欲しい機能」と「どうしてもなくてはならないハコモノ」を膝詰めで考えていく姿勢、あるいは、機能を享受する方法やサービスの担い手、そしてそれに伴う様々な変革への適応を、怖がらずに直視していく勇気や風土作りが必要なのではないだろうか。

そして、その風土作りに欠かせないのが、先程の後半のフレーズである「国が子供産ませないでどうすんだよ。」のところにある。

一見、お役所任せで投げやりな表現のようにも聞こえるが、この一言は非常にこの問題の本質を言い当てているように感じる。

つまり、少子高齢化という一つの熟語のようにつかわれるこの言葉も、高齢化問題は国民全員に訪れる共通した問題であり、特に人生の成熟に向けた後半に訪れる、まさに人生を掛けた大きな課題であるのに対し、少子化問題は、人生のある特定の時期までの問題であり、特に非常に忙しくゆっくり考えている時間を与えられない時期に訪れる課題と言えるのではないだろうか。

したがって、高齢化対策は「国」の共通した課題であるのに対して、少子化対策はどこか「一部」の課題としてしか映っていなかったのではないだろうか。ここに「国が子供産ませないでどうすんだよ。」の真意があるように思う。

これは、前述した公共施設マネジメントの世界においても、高齢化対応施設は「国」の共通した課題であるのに対して、保育園や学校、学童保育所などの子育て支援施設は「一部」の課題としてしか映っていなかったことの証である。本来は、今後の「国づくり」にとって、この点こそが最も根幹的で重要な問題のはずである。今後の日本を誰が支えるのかを考えれば、直ぐに答えは出るのである。

現在、多くの自治体において公共施設等総合管理計画の策定が進められている。そして、そのサブタイトルとして、「次世代の負担を減らす」という表現が多く見受けられる。

そこで最も重要なことは、「次世代の負担を減らす」ことの本質として、何をしたいかである。すなわち、負担を減らすことによって、次世代における財務上、品質上、保有上の制約を極力少なくし、その結果として「次世代の自由度を上げる」ことが大切なのではないだろうか。さらに言えば、その自由度を上げることによって、「次世代に選択の余地を残してあげる」ことではないだろうか。自由な選択ができない社会ほど、残されて不幸なことはないと筆者は思うのである。

例えば、次世代にも使えるようにと大きく多目的(無目的?)な公民館を建設することによって、かえって次世代にその建設コストの借金を残し、使い勝手も次世代にとっては悪く、改修するにも多くのコストが掛かる、こうした“大は小を兼ねる”的な風土を繰り返してはならないのである。

我々は、公共施設等総合管理計画において個別計画を作らなくてはならないからと言って、向こう数十年間に渡る統廃合計画や複合化計画、再配置計画等を詳細に決めつけることは、かえって次世代に制約を加えることになることを理解しておかなくてはならない。

保育園を必要とする世代に、「まじいい加減にしろ日本」なんて言わせるような社会、次世代の自由度をなくすような社会を、決して残してはならないのである。

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