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公共施設マネジメントコラム①「日本人は基本的にエリアマネジメント思考」

ジャパンシステム株式会社 コンサルティングアドバイザー 池澤 龍三

「おらが村、おらが町」・・・日本人は基本的にこれらの言葉が大好きであり、「私たちの地域を第一に考える」という発想を無条件的に好む傾向が強いように思う。

私は昭和38年生まれで、翌年の10月には東京オリンピックが開催されている。時代はまさに、その後、高度経済成長を成し遂げ、日本中に高速鉄道や物流の大動脈である高速道路等が驚異的なスピード感をもって整備されていくのである。

必然的な原理として、東京を中心とする大都市構造が構築され、関東大震災や戦時中の苦い経験から、火に強く丈夫で永遠に立派であり続けるであろうという、ある種市民感覚としては神話や都市伝説にも近い感情のもと鉄筋コンクリート造の建築物は大量生産されていくのである。

これまでの時代、それは民間施設に限らず公共施設についても同様で、さらに根本的な発想は、「大は小を兼ねる」、あるいは「どうせ造るのであれば」という一見正しい効率化論的発想からか、とにかく大きく立派なものが好まれる傾向にあったような気がする。

そして、さらにそこには最初に述べた「地域性第一主義」が好まれる傾向から、全国の地域・地区ごとに、巨大な公共建築物が出現していくのである。その代表的なものが、○○ホールや○○美術館、○○文化会館等と言われる大規模建築物である。例えば、隣の自治体が1,000席収容の市民ホールを造ると、「おらが村、おらが町」には1,200席の文化ホールが必要だとの市民感情が沸き起こり、そのまた隣の市は1,400席の本格的音響設備の整った音楽ホールを建設するといった具合である。

余談であるが、現在、全国の自治体にお邪魔して研修会やシンポジウム等に参加させていただく度に感じるのは、なぜ日本人はここまで「ホール」好きなんだろうかという疑問である。文化ホールにコミュニティホール、挙句の果てに多目的ホール。考えてみれば、多目的ホールとはいったい何をするところなのか、今となっては甚だ曖昧な施設とも言えなくもない。

少し話は逸れたが、この建築物の大規模化や量産化は、学校施設についても同じことが言えるのではないだろうか。現在、全国の地方自治体が所有する公共建築物の床面積は、実にその約4割弱が小・中学校施設となっている。

そして、今さらながら、「おらが村、おらが町」の地域コミュニティを象徴化したのが小・中学校施設のように語られることが多い。

しかし、現実社会において、本当に小・中学校施設が地域コミュニティの核になっているのだろうか。

小・中学校施設の多くが避難所の指定となってはいるが、災害時果たしてどこに何があるのか、どの空間を避難所として使用することができるのか、情報はどのように伝えられるのか、そもそも避難所としての設備・機能を有しているのか等々、考えてみると実は不明確なことだらけなのではないだろうか。

ましてや災害時だけではなく日常時においても、我々は小・中学校生として過ごす9年間以外は、すなわち人生のおよそ9割の時間と空間は、小・中学校施設とは全く関係ないところで過ごしているのである。社会人になり多くの税金を支出し市民共有の財産として所有し、維持管理している小・中学校施設なのにである。こう考えてみると、果たして、このままの状態で、本当に小・中学校施設が地域コミュニティの核と成り得るのか、改めて考え直さなくてはならない時期に来ているように思われる。

思い起こせば、約2年前、平成26年4月22付けにて総務省より各地方公共団体宛に「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」と題する文書が通知された。(総財務第74号)

これは、我が国における公共施設等の老朽化問題、地方自治体における厳しい財政状況、今後の人口減少等により公共施設等の利用需要が変化していくことを背景とした公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するための計画(以下、「公共施設等総合管理計画」という。)の策定を促すためのものである。  

もちろん、公共施設等の中には、建築物だけではなく道路、橋梁、上・下水道等のインフラ施設に関する長寿命化計画等も含まれている。
また、その公共施設等総合管理計画の狙いは、ソフト面・ハード面双方からの公共施設等の今後のあり方そのものの検討を促しており、様々なカテゴリーが含まれた中、時間軸においても一気に解決できるものではない項目も含まれている。

だからこそ、公共施設等総合管理計画は、持続可能な自治体経営のための単純な総量縮減論ではなく、長期的な視点からの「おらが村、おらが町」の「真のあり方」を考えるきっかけづくりと言えるのではないだろうか。単純な大きさや立派さを競い合う自治体間競争時代は終焉を迎え、自治体間同士のサービスアライアンスや、単純な請負業務ではない官民での真のパートナーシップ体制の構築をスタートさせていかなくてはならないのではないだろうか。

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