JAPAN SYSTEMS Driving for NEXT NEW with Comfort and Convenience

病院情報システム(HIS)というもの

最近の病院では、その診療のほとんどが電子化され、カルテなどもいわゆる電子カルテとしてシステム化されています。そういったシステムは医療情報システムとか病院情報システムと呼ばれます。(ここでは、病院情報システムという言葉を使います。)
ところで、病院情報システムとは、どういったものでしょうか。

昔の病院や小規模の病院はともかく、現在の数百床規模の病院のほとんどは、診療に関わる様々な作業が電子化されているとともに、医療機器自体もほとんどが高度な電子機器といってよいと思います。こういったシステム化は、診療の精度の向上、効率化やスピードアップ等を目的として急速に進められてきています。

それらシステムの中で、診療に関わる記録や業務の支援に関わるものの総称が、いわゆる病院情報システム(Hospital Information System:HIS)です。
よく「電子カルテ」ともいわれますが、それは病院情報システムの主たる機能の一つを表しているに過ぎません。内容や規模はそれぞれの病院によって異なりますが、「カルテを電子化し様々な情報と連携したもの」、「診療の情報から診療報酬の請求などを行う処理をするもの」、「看護に関わる様々な業務を支援するもの」、「検査や診療に関わる個別システム」「診療によって得られる画像などを主に取り扱うシステム」「ハードウェアとネットワーク」といった総合的、複合的なシステムが病院情報システムと呼ばれるものの実態です。

これを知らないと、単純に「電子カルテ」と呼ばれているものが、あたかも一つのベンダーが提供する一つのシステムと誤解してしまうようなことがあります。実際は異なるベンダーの異なるシステムを、共通のプロトコル(約束ごと)も十分でない中で連携させている非常に複雑でやっかいなシステムといえます。多くの診療科や機能を抱えている病院であればあるほど、この複雑さは高くなりシステムの構築・運用も難しいものとなります。さらに、大きな病院の場合はカスタマイズされる部分も多く、これがメンテナンスを難しくし経費を膨らませる要因ともなるわけです。

また、取り扱っている情報は個人情報がそのものですし、それも診療を受けている人の病気に関わること家族構成や家庭環境そのほか様々な機微な情報が満載です。記録自体の保管も情報の内容により5年からさらに長期間の保管が求められているものもあり(生物由来製品(注)などの使用記録は20年の保管)、情報の取り扱いは極めて慎重に行う必要があります。そのうえ、入院患者の対応救急緊急の手術など病院は24時間稼働していますから、システムが止まっては診療そのものができなくなる深刻な事態を招きます。
(注)たとえば血液製剤など、植物を除くその他の生物の細胞、組織等に由来する原料又は材料を用いた製品のうち保健衛生上特別の注意を要するもの

高いセキュリティ確保が求められる一方で、現在のチーム医療(一人の患者に複数のメディカルスタッフ(医療専門職)が連携して治療やケアに当たる)では複数の医療関係者がスムーズに利用できるものでなければならず、さらに地域の医療機関との連携、診療の進化に欠かせない学会でのデータ活用などデータの共有と活用を求められます。相反する課題を解決する必要のある仕組みの実現はシステム自体としても運用としてもとても難しいものとなっています。

こういったシステムでありながら、求められるレスポンスのレベルは非常に高く、とにかくストレスのないことを求められます。比較されるのは、実現の難しいところもある「紙」で行っているときの感覚です。

よく、「実際の診療時間が短い」などといわれますがその短い時間で医師は実に様々なことを迅速かつ的確に行っています。実は紙での処理を行っていたときにはそれなりに工夫して「考えて動くスピード」にあっていた部分もあったと思います。システムではそういったショートカットが難しく危険な処理などに表示される警告表示も煩わしいものになってしまうことがあります。実際のシステムで、この「感覚においついた処理」ができているものはまずないといえ非常に多忙な診療の場では常に改善を求められることになっています。

病院情報システムについて今述べたことは一部の側面ですが、もうひとつ忘れてはならないことに人の問題があります。

そもそも、病院という環境がかなり限定的かつ専門的な分野です。
多くの病院では専門スタッフの確保に苦労している状態です。特に、診療に直接携わるスタッフではなくそれを支援する部門はなおさらです。専門のシステム部門を置ける余裕がある病院はまだよいですが、兼務で他の事務と併せて業務をこなしている場合は専門的な知識も少なく苦労しているというのが現状です。これでは導入、運用の両方で適切な対応、マネジメントを実現するのが非常に困難です。

開発側のスタッフの不足も同様です。多くの場合は短期間でシステムの構築を求められる過酷な職場となるため、十分に時間をかけて人材を育成することが難しい状況です。一定の基本的な機能はあるにせよ各病院での機能の要求には差が大きく対応も難しいものです。また、利用者側へのサポートも十分ではなく体系だった研修なども用意されていない場合がほとんどです。

こういった状況を改善するためにサポート業務やコンサルティングを行う業者もいますが、それらの業者も万能ではありませんし当然ながら個人の能力差もあります。組織として、内部で人材育成を行うことができる場合はよいですが外部の力を借りる場合にはその支援のありかたが本当に意味のあることなのか、自分の病院の立場で考えてくれているのかを見極める能力が求められると思います。

そういった能力を磨くために少し勉強をするというのであればまずは、その分野の基本的な知識に触れることがよいのかもしれません。別の機会に少し詳しく述べますが医療関係の資格に関わる参考書、講座、医療の運営や情報に関わる学会でのチュートリアルなどは一つの方法です。
まずはそういった機会を見つけて知識を得ることを心がけていただければと思います。

今回は、病院情報システムのイメージとそれに関わる問題を少し述べました。今後も病院などのことに関わることを述べていこうと思います。

Adobe® Reader®

PDFファイルの閲覧には、Adobe® Reader®が必要です。

Adobe® Reader®のダウンロード

お問い合わせ